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2009年5月12日 キャラメルボックス『容疑者Xの献身』マチネ  ズームアップできない舞台に挑む [ストレートプレイ]

2009年5月12日  キャラメルボックス『容疑者Xの献身』マチネ 1階13列25番 サンシャイン劇場

原作 東野圭吾『容疑者Xの献身』
脚本・演出 成井豊

石神哲哉 西川浩幸
湯川学 岡田達也
花岡靖子 西牟田恵
草薙俊平 斎藤歩
間宮隆一 川原和久
岸谷由紀夫 筒井俊作
花岡美里 實川貴美子
工藤邦明 三浦剛
富樫慎二 石原善暢
米沢小代子 大森美紀子
金子芹香 前田綾

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定価7000円のチケット。
当日10時発売に並べば、半額。
前日18時以降にネットで申し込めば、4000円。

朝、起きれない私に、10時池袋なんて無理。
それに、開演までの時間、
19時開演だったら、時間をつぶすことに
お金を使ってしまいそう。


前日予約で、申し込み。
5月12日昼と、5月21日夜公演は、5月になってから人気のため急遽追加された公演。
狙い目は、ここだ!!と、これにあわせて体調管理。
5月12日の公演の一般発売が5月6日という、短い期間。
数日前までは、1階席の半分も埋まってなかったそうだ。
それが、いってみたら、ほぼ満席!すごい。
2階席覚悟でいったら、1階席の真ん中ぐらいの席。やったw
客席を見てみると、20代男性が多い感じ。
東野圭吾ファンも来てるのかな?


注意:ネタばれあり

みなさーーん、原作は読みましたか?
もしくは、映画みましたかーー?
できれば、どちらかみてから、この先を読んでくださいねーー。


たくさんのミステリー小説を読んできたが、
こんなトリックをみたことない。

たいていのトリックは、出つくしていると言われているが
それにしても、こうくるか。
映画は見てないけど、予告編とかのCMを見て、
石神は堤真一、靖子は松雪のイメージがついちゃいました。
そして、湯川は、もちろん福山のイメージ。

舞台は、原作に忠実。
特に大きな変更点もなく、
ああ、でも、ややキャラメルっぽい明るいノリの部分もあったな。
靖子、美里、工藤が中華料理屋で食事しているとき、
前田さんが、「ジャスミン茶。熱いよ。キヲツケロ」って、いつもの通りに言うの。
そういう、ちょっとした笑いの場面は、
客席全部じゃなくて、部分的に、くすっと笑いが出ていた。
あの場面は、あそこにつながる。ここであの人が、あれして、次に、
って真剣に考えている中で、笑いの場面は、
いい意味で肩の力を抜けるところだった。
そういう場面がなければ、この真剣勝負に立ち入りできない。


西川さんは、終始、まじめ。
今までにそういう役もあったけど、
いつか笑わせてくれるんじゃないかと、無駄にドキドキしてしまった。
もっと、湯川とリラックスして、会話を楽しんでほしかったなと。
台本に、少しも無駄な時間がなくて、
次々と、東野ワールドを展開していく。

岡田さんは、福山を秋葉系にした感じ?w
いい意味で、かっこよさを捨ててるというか、
本当の研究者は、こうなんだろうなという感じ。
本来の原作も、舞台のような湯川で、当たりだ。
福山のイメージが強い中で演じるのは大変だったんじゃないかな?
(あんまり、意識してないかも?)
普段の、うるさいオカタツよりも、少しトーンを抑えて、強すぎず弱すぎない湯川像。
本当なら、湯川が真相をあばく場面を、
もっとためて、照明も音響も思いっきり大きく見せるべきかもしれないけど、
あくまで、淡々と事実を明かしていく。

舞台転換の時に、役者が交替しながら、
『容疑者Xの献身』の本物の本を読んでいく。
湯川は読んでいた。
でも、石神と靖子は読んでなかった?
もう一度観れるなら、確かめてきたい。
石神と靖子は本を読んだのかどうか。

この話、湯川は、第三者として読めるが、
石神と靖子は、読めないんじゃないか。
こういうスタンスを成井さんが作ったのではないか。
(こんなに書いていて、石神と靖子は読んでたりして)

まあ、トリックを知ってるから、舞台を見てもびっくりしないけど
舞台で初めて、このトリックを知った人はどう思っただろう。

私は、最後を知っているのに泣けた。
原作を2回読んでも泣けないだろう。
でも、原作+舞台なら、どちらも泣ける。

あまりに淡々と進んでいく舞台で、どうしてもこの結末しかなかったのか、
靖子がああして、石神は喜ばない、
どうしたら、二人は幸せになれただろうか。
その流れを止められない自分がいる。

靖子と石神が、泣き崩れる場面。
映画なら、ズームアップできる。
それを、舞台でどうみせるのか。

あくまで、自然に泣き崩れていた。
舞台の真ん中に出て、スポットライトをあびて
音響を最大限に大きくして、または、音響をカットさせて
その静けさの中で泣けば、映画のように見せることができる。
キャラメル以外の劇団がこの舞台を上演するなら、
間違いなく、不自然でも大きく取り上げるだろう。

でも、靖子は、石神に向かったまま、後ろに向いたまま
うずくまって泣いていた。その顔は、客席からは全く見えない。
見えなくても、全身で石神に気持ちをぶつけているところが輪のように
彼女自身で光をはなっていて、とても尊いものだった。

石神は客席に向いて泣いていたけど、
そこにスポットライトを当てることはない。
彼の頭の中にある、美しい公式が崩れる。
美しい数学が崩れる音を、確かに聞いた。

どうして石神が、靖子に気持ちを伝えなかったのか。
そんなに自分に烙印押さなくてもいいのにね。
でも、自殺することまで考えて、その中で見つけた光。
彼にしかできない方法で、その光を守る。
石神が工藤に思う気持ちは、最初に、本当にああだと思っていたし、
実は違ったなんて知ったら、あのストーカー姿に謝りたい。

川原さんが出てくると、セリフをしゃべらなくても、ひきしまる。
ああ、ショーマを今、観たい。
富樫役の石原さんは、殺された後も、出てきて笑いを取っていた。
石原さんは、天才役者だと、個人的に思っているので、
彼が主役の舞台も観たいなー。ああ、でも彼は主役向きじゃないかも。

音楽が、ものすごく、ぴったりだった。
何か動作をする、その瞬間に、ぽろんと自然に流れる音楽。
サウンドCDも売ってたけど、
うーん、また今度というか、いつでも買えそうなので我慢。
使用曲目リストがあったので、もらってきた。
16曲中、13曲がオリジナル。この舞台のために作られた曲。
ほとんどが木原健太郎さんの曲。

「このバックグランド・ミュージック、いい曲だな」と
意識が飛ばない音楽を作ってもらったそうですが、私の心には響いた。
でも、音楽が演技を邪魔することはなく、
役者の心と客席全部の心を一つにまとめるような、透きとおった音楽だった。
役者として、この舞台で動いていたとして、
この音楽を聞いたから、まばゆい光が見えたんだろうな。
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