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2009年9月1日 『ジェーン・エア』プレビュー  [ミュージカル]

2009年9月1日 『ジェーン・エア』プレビュー 
日生劇場 1階E列4番
http://je-musical.com/

原作/シャーロット・ブロンテ
脚本・演出・作詞/ジョン・ケアード
作曲・作詞/ポール・ゴートン


ジェーン・エア 松たか子
ロチェスター 橋本さとし

ブランチ・イングラム 幸田浩子
フェニファックス夫人 寿ひずる
スチャナード他 旺なつき
リード夫人他 伊東弘美
ジェーンの母他 山崎直子
シンジュン他 小西遼生
メイソン 福井貴一
ブロクハースト他 壌晴彦

子役 ジェーン(10才) 佐藤瑠花
アデール 加藤ゆらら
ジョン・ソード 教会の従者 大鹿礼生

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原作を書いたシャーロット・ブロンテは、
『嵐が丘』で有名なエミリー・ブロンテの姉。
『ジェーン・エア』と『嵐が丘』は、
女性が、ものすごい大きな力で、自分の進む道を歩んでいくという点で似てる。
今回、舞台を観て、初めて『ジェーン・エア』の内容を知ったが、
有名な『嵐が丘』よりも、『ジェーン・エア』の方が共感しやすい。
それは、日本初演に向けて、演出や音楽を再構築したからなのか。
または、私自信が抱えている問題と似ているからかもしれない。

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姉妹が書いた作品、両方に主演した、松たか子。
2002年に観た『嵐が丘』の感想。

『嵐が丘』 2002年1月11日 新橋演舞場
原作/エミリー・ブロンテ 
脚本・演出/岩松了

キャサリン 松たか子 ヒースクリフ 岡本健一 
エドガー 鈴木一真 イザベラ 細川直美 
ジョーゼフ 斎藤晴彦 ネリ・ディーン 梅沢昌代 ヒンドリー 山本亨

○岩松さん演出『嵐が丘』
今回の『嵐が丘』は賛否両論ある作品かもしれない。
私は感動したけど、冷静に考えてみると、もう少し演出の工夫してほしかった。
30分と20分の2回休憩時間を入れて、3時間40分の大作。
幕間をしっかり取っているのだから、
舞台をもっとスムーズに進行してほしかった。
暗転が多くて、その間ふっと気が抜けてしまう。
新橋演舞場は花道があるのだから、
舞台装置転換の暗転中も花道で舞台を進行してほしかった。


○キャサリンとヒースクリフの魂の共鳴
キャサリン役の松さんは、
子供時代から大人へ成長した姿をうまく表現していた。
気性の荒さをうまく表現していた。
しかし、結局ヒースクリフをどれだけ愛していたのかわからなかった。
ヒースクリフ役の岡本さんも
暗い役柄をとらえ好演していたが、じめじめしすぎていた。
子供時代も単なる友達、兄弟愛のような感じを受けた。

魂の共鳴は最後の場面で表されていた。
最後、夢のような場面で、
キャサリンの棺おけから、子供のころのキャサリンが登場。
子供のヒースクリフと抱き合う。
結局子供同士の時でなければ二人は幸せじゃなかったのかな。
大人になっても生きているときに、
二人が幸せだったらよかったのに・・・

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『嵐が丘』のときは、松さん「ひとりだけ」のオーラが強すぎた。
持って生れたオーラが強すぎる。
前へ前へと向かう力は、大きかったけれど、
ほかの人とのかけあいが不十分で、観ていて、疲れる舞台だった。


細かいことは、まだ開幕したばかりなので控えるが
今回の『ジェーン・エア』では、
松さんのオーラはそのままに、他の共演者の色も強く出ていて、
すんなり落ち着いていた。

主に、ジェーン・エアとロチェスターの場面が多くて、
これをストレートで見たら、ものすごく疲れるだろう。
しかし、渾身の演技や歌、
暗転なく、なめらかに進む工夫された演出を観ていると、
時間がたつのを忘れてしまう。

墓地、ジェーンの部屋、庭、ロチェスターの寝室、街並み
さまざまに舞台展開していく。
椅子やテーブル、ベットの出し入れは、
すべて役者やスタッフが、人の手で行っている。
盆は使わず、でも、一回り歩いてきた演技を、自分たちが歩いて表現する。
あえて盆を使わなくて、いつの間にか次のシーンのセッティングがされていく。
ジェーンは、ほとんど、出ずっぱり。
着替える時も、召使いが服を持ってきて、着替える芝居をする。
それらが、段どりっぽくなく、
「着替え手伝ってくれて、ありがとうね」と召使いに話しかけるように
生活している姿を隠さず、舞台に出していく。

SP席という舞台上の客席もある。
上手、下手に各35人ぐらいずつ。
舞台の上に、ライオンキングのプライドロックの高さ半分ぐらいのものが
そびえたっていて、その上に座る。
大きな船のような形。
少し上なので、キャストとものすごく距離が近いわけじゃないけど
斜めに舞台を使っているシーンが多かったので、
普通の客席に見えない表情が見えるだろう。
SP席という存在もあって、いろんな方向から隠さず表現している。

子ども時代のジェーンから始まる。
10才のジェーンを見つめる大人のジェーン。
対角線の位置に立ち、なんとも自然に動く。
子ども時代のジェーンを踏まえて、大人になっていく。
その過程が、丁寧に描かれている。

ジェーンとロチェスターの関係が、とてもすてきだった。
ロチェスターが、ジェーンを守るように抱きしめているチラシが印象的。
でも、実際に、抱きしめるのは・・・。
そこに至る様々なハードル。

ジェーンは、孤児で、身分は低い。
ロチェスターは、貴族。

ロチェスターが、ほかの貴族と結婚しようとする。
それに対して、ジェーンは自分の身分、目立たない外見を悔やむ。
ほかの人から、見るからに身分低そうにねとか言われても、
松さん自信、しっかりした家柄の出ではないか。
だから、若干信憑性がないのだが、
そこを執念かけて歌う姿は、ジェーンそのもの。
松さんでありながら、松さんではない。

ロチェスターも、これまた大変な役だ。
せつなく「ジェーン、ジェーン」とつぶやく姿が印象的。

全編通して、張り上げて歌うような歌はなくて、
しっとりと歌が進行していく。
2人で歌うところは、2人同時の旋律で違うセリフを言うパターンが多い。

私自身、ロチェスターではなく、
シェンジェンのような人の元へ向かおうと考えていた。
そのほうが、安定してるんだもん。
でも、やはり愛が大事だ。

後半、ジェーンが進むべき道を見つけて、
阻害要因があって遠ざかるが、また再確認してというところで
じんわり、ずっと泣いていた。
10才のジェーンも、ふたたび登場して、また対角線に立つ。

10才の時の私 -------------------------- 今の私

対峙することになったら、
私は、過去の私に恥じることなく
生きていけるだろうか。
生きていってるのだろうか。
――生きていってないね。

おびえて暮らしていた10才の私に、
「大丈夫よ、あなたは幸せになれるんだから」って見せてあげられる大人になるべきだ。

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